英文IRインサイト
英文の招集通知は行使を促すが、行使サイトは日本語のみ
調査した128社のうち109社が、株主総会の招集通知を英文で公表しています。そのうち95社では、案内しているインターネットの行使ウェブサイトに英語の画面がありません。議案は英語で読めても、英語の読者が自分で行使しようとすると、日本語のログイン画面で止まります。誰に影響し、通知に何を書けばよいかをまとめました。
数値は、評価項目G5(議決権行使に間に合う時期の英文招集通知)の確認記録から計算しています。行使ウェブサイトは2026年10月23日に各社の通知や株式事務のページで確認し、株主名簿管理人3社のサイトを2026年10月24日に開き直しました。対象の128社は研究上の選定群で、市場全体ではありません。会社名は分かりやすい説明の例としてのみ挙げ、不足は会社名を挙げずに書いています。
ほとんどの英文招集通知が、日本語のみの行使サイトを案内している
- 01英文の招集通知あり・行使ウェブサイトは日本語のみ95
- 02英文の招集通知あり・行使サイトの言語は記録なし14
- 03英文の招集通知なし19
英文の招集通知がある109社のうち95社で、通知(通知に記載がない場合は日本語の通知や株式事務のページ)が案内する行使ウェブサイトは日本語のみでした。残る14社は公表時期で点数が決まっており、行使サイトの言語は記録していないため、どちらにも数えていません。128社のうち、この項目で5点の会社はありません。行使ウェブサイトは会社ではなく株主名簿管理人が運営しており、確認した3社のサイトはいずれも入口から日本語のみで、英語への切り替えはありません。
| 株主名簿管理人 | 社数 | 確認した行使ウェブサイト |
|---|---|---|
| 三井住友信託銀行 | 44 | www.web54.net · www.soukai-portal.net |
| 三菱UFJ信託銀行 | 28 | evote.tr.mufg.jp |
| みずほ信託銀行 | 18 | soukai.mizuho-tb.co.jp |
| 記録に名前なし | 5 | — |
誰に影響するか
影響を受けるのは、海外投資家の全員ではありません。海外の機関投資家は通常、カストディアン(保管銀行)を通じて行使し、多くの上場会社では、東証とBroadridgeが設立したICJの議決権電子行使プラットフォーム ↗を使います。2026年3月末時点で、参加を決めた会社を含め、東証上場会社1,807社が参加しています(ICJの公表 ↗)。コーポレートガバナンス・コードの補充原則1-2④は、プライム市場の上場会社に、少なくとも機関投資家向けにこのプラットフォームを利用可能とすることを求めています。
株主名簿管理人の行使ウェブサイトを使うのは、株主名簿に載っている株主です。郵送された議決権行使書のログイン情報で行使します。日本の証券会社を通じて株式を持つ個人株主のうち、日本語を読まない人は、英文の通知で議案を読めても、通知が案内するインターネットの行使手段を自分では使えません。通知を英文で出すのは、日本語を読まない読者のためです。その通知が案内する行使手段が日本語のみなら、案内はそこで途切れます。
ICJのプラットフォームは機関投資家のためのもので、個人株主は国内外を問わず使えません。個人の行使手段は郵送か株主名簿管理人のウェブサイトです。海外の証券会社を通じて日本株を持つ個人は株主名簿に載らず(株式はカストディアンなどの名義になります)、その証券会社が議決権行使を取り次ぐ場合にだけ行使できます。
英文の招集通知に書くこと
- 行使の手段ごとに、誰が使うものかを書く(名簿上の株主はウェブサイトか郵送、機関投資家はカストディアン経由のICJプラットフォーム)。
- 行使ウェブサイトが日本語のみなら、そう明記する。
- 締切を日本時間で、日付と時刻まで書く。
- 日本語の画面を順に示す英語の手引き(画面写真に英語の説明を付けたもの)を用意するか、英語で問い合わせできる窓口を書く。
- 英文の通知を総会の3週間以上前に、議案の参考書類まで含めて出す。
分かりやすい説明の例
- 日東紡績 3110 — 英文の招集通知で、同社が使う議決権行使ウェブサイトは日本語のみであると明記しています。英語の読者は、試す前にそれを知ることができます。 招集通知 ↗
- 日産化学 4021 — 郵送とインターネットによる行使を、日本時間の締切とともに英語で説明し、機関投資家向けにICJの電子行使プラットフォームも示しています。 招集通知 ↗
- 島津製作所 7701 — 行使ウェブサイトの所在と締切(6月24日午後5時)、機関投資家向けのICJプラットフォームを英文で示しています。 招集通知 ↗
これらの会社も、行使ウェブサイト自体は日本語のみです。挙げたのは、英語の読者に行使の手段を正確に伝えている例としてです。
最終的な解決は、株主名簿管理人が行使ウェブサイトに英語の画面を用意することです。今回の95社のうち90社は、3社のいずれかのサイトを使っています。それまでは、会社が通知の中で手段を正確に説明することが、英語の読者にとっての案内になります。
総会の後:結果も英文で
総会の後も同じ溝があります。128社のうち108社は、議決権行使の結果(議案ごとの賛成・反対・棄権と賛成率)を英文でほとんど、またはまったく公表していません(G6で0〜2点)。英語で行使を呼びかけた株主は、結果を英語で知ることができません。英文IRの6つの不足:議決権行使結果 →
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