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2026年10月版 · 評価基準 GNT-BDS v1.1.1 · 最終更新 2026-10-23日本語 / English
Japan IR Index英文開示・株主コミュニケーション調査

英文IRインサイト

128社の調査で見えた、英文IRの6つの不足

東証上場128社の英文開示を、同じ34項目で確認しました(確認日 2026年9月〜2026年10月23日)。0〜2点の会社が最も多い6項目を、データから選んでいます。多くは、すでにある資料の翻訳や掲載の仕方で埋められる不足です。

対象の128社は研究上の選定群で、市場全体の標本ではありません。機械、電気機器、化学、医薬品が中心です。所定の範囲で調べて見つからなかった回答は0点として数えています。数値はすべて、データのページの回答別CSVから再計算できます。記録の訂正は当調査の誤りを直したもので、会社の開示の改善として扱うことはありません。

6つの不足

図1 0〜2点の会社の割合(128社)
  1. R5英文版を日本語版に劣後する参考訳とせず、正式な開示として位置付けているか95%(121/128社)
  2. G6株主総会の議決権行使結果を英文で確認できるか84%(108/128社)
  3. F6複数年度の財務データを英文のExcel・CSVファイルで取得できるか66%(85/128社)
  4. F4有価証券報告書の英文版が(形式を問わず)公表されているか62%(80/128社)
  5. G7政策保有株式の保有理由と縮減の計画(時期・規模)を英文で説明しているか49%(63/128社)
  6. S5決算説明会の発言録・質疑応答を英文で公表しているか42%(54/128社)

6項目すべてで3点以上の会社はなく、4項目以上で0〜2点の会社は79社でした。不足は一部の会社に偏るのではなく、多くの会社に共通しています。

図3 6項目のうち0〜2点の項目数ごとの社数
0081162253264265276

0〜2点の項目数

01 英文版の位置付けが示されていない

R5 英文版を日本語版に劣後する参考訳とせず、正式な開示として位置付けているか — 128社のうち121社が0〜2点

ほぼすべての英文資料に「日本語の原文が優先する」との注記があります。法的な備えとしては妥当ですが、英文について会社が示すのがそれだけだと、海外の読み手には英文が参考扱いだと伝わります。

点数の分布(128社)— 3点: 7 · 2点: 90 · 1点: 27 · 0点: 4

最高点は3点で、7社です(5点の会社はありません)。

改善の方法

英文IRページに、英文開示の対象範囲、日本語版との公表時期の関係、管理する部署を一文で示します。

目安:半日(一文の追加)

02 議決権行使結果が英文で読めない

G6 株主総会の議決権行使結果を英文で確認できるか — 128社のうち108社が0〜2点

海外の株主に議決権を行使してもらうために招集通知は英訳しても、賛否の集計は臨時報告書で日本語のみ、という会社が多数です。行使を求められた株主は、結果を知ることができません。

点数の分布(128社)— 5点: 20 · 2点: 35 · 0点: 73

現在、最高点の会社の例

改善の方法

決議ご通知または臨時報告書を英訳し、議案ごとの賛成・反対・棄権の数と賛成率を示します。

目安:年1回、1文書の翻訳

03 財務データをファイルで取得できない

F6 複数年度の財務データを英文のExcel・CSVファイルで取得できるか — 128社のうち85社が0〜2点

5年分の業績、貸借対照表、キャッシュフロー、1株当たり情報は毎四半期の決算短信にありますが、アナリストは打ち直すしかありません。PDFのファクトブックは対象外で、Excel・CSVが問われます。

点数の分布(128社)— 5点: 31 · 4点: 11 · 3点: 1 · 0点: 85

現在、最高点の会社の例

改善の方法

英文ラベル付きのExcel・CSVを1つ用意し、5年以上の損益、貸借対照表、キャッシュフロー、1株当たり情報(可能ならセグメントも)を収めます。

目安:1文書(財務担当者の1日程度)

04 有価証券報告書の英文版がない

F4 有価証券報告書の英文版が(形式を問わず)公表されているか — 128社のうち80社が0〜2点

有価証券報告書には、事業等のリスク、事業の内容、監査済みの財務諸表があります。全文訳、要約、一部の英訳のいずれでも評価に含めていますが、多くの会社は英文が一切ありません。

点数の分布(128社)— 5点: 7 · 4点: 12 · 3点: 29 · 0点: 80

現在、最高点の会社の例

改善の方法

全文訳が難しければ、事業の内容と事業等のリスクの英文要約で、海外投資家が求める情報の多くを補えます。

目安:1年(翻訳予算)

05 政策保有株式の縮減計画が英文にない

G7 政策保有株式の保有理由と縮減の計画(時期・規模)を英文で説明しているか — 128社のうち63社が0〜2点

英文のガバナンス報告書にあるのは、多くの場合、定型的な方針だけです。足りないのは、銘柄数と金額、期限付きの縮減目標、その進捗、保有を続ける理由です。

点数の分布(128社)— 5点: 19 · 4点: 5 · 3点: 41 · 2点: 27 · 1点: 1 · 0点: 35

現在、最高点の会社の例

改善の方法

英文で、銘柄数と金額、目標と期限、進捗、保有を続ける理由を示します。保有していない会社は、その旨を示せば5点です。

目安:四半期(1回の起草)

06 決算説明会の質疑応答が英文にない

S5 決算説明会の発言録・質疑応答を英文で公表しているか — 128社のうち54社が0〜2点

説明会を開き、日本語の質疑応答の要旨は掲載されても、英文の読み手には質問のない説明資料だけが届きます。有用な情報は多くの場合、質疑にあります。

点数の分布(128社)— 5点: 17 · 4点: 53 · 3点: 4 · 0点: 54

現在、最高点の会社の例

改善の方法

日本語の要旨がある説明会ごとに、英文の質疑応答の要旨を、可能なら同時に掲載します。

目安:四半期(説明会ごとに1本)

業種別に見る

図2 業種別、0〜2点の会社の割合

業種は東証33業種。社数が少ない9業種は「その他」にまとめています。社数が少ない業種の比率は、1社で大きく動きます。

0〜2点の割合の業種による差が最も大きいのは、F6(財務データをファイルで取得できない:医薬品 83%、化学 50%)とF4(有価証券報告書の英文版がない:医薬品 83%、電気機器 52%)です。総合点の中央値は、機械 76.4、電気機器 80.8、化学 82.8、医薬品 75.4、その他 78.2です。

読み方と使い方

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