社長の後継者計画と指名
誰が次の社長を選ぶのか、元社長は会社に何の役割で残っているのか。後継者計画と指名の手続は、海外の投資家が日本企業のガバナンスで最も見えにくいと感じる部分の一つです。株主提案では、指名委員会の設置や相談役・顧問の廃止として問われます。
2026年10月19日作成。出典は2026年10月24日に再確認しました。賛成率などの数値は臨時報告書・会社の開示によります。
実際に出ている問い
独立性と権限を確保した指名・報酬諮問委員会を定款で設け、後継者計画をその委員会に諮問すべきだ。
フクダ電子(6960)2025年 株主提案(カナメ・キャピタル)の要約。
歴代社長が有償の顧問・相談役として残っている。この仕組みを廃止すべきだ。
東洋製罐グループホールディングス(5901)2021年、オアシス・マネジメントの声明と株主提案の要約。
回答に含めるべき要素
- 後継者計画の有無と手続:誰が、いつ、どの基準で候補者を選び、育成するか。G1
- 指名委員会:構成(独立社外取締役の比率)、委員長、審議の回数と内容。G1G2
- 相談役・顧問:在任者の有無、役割、報酬。廃止したなら時期。
- 任期と年齢の上限:役員定年や在任期間の制限。
- 取締役ごとの経歴とスキル。G2G3
- 英文で:コーポレート・ガバナンス報告書の該当部分(補充原則4-1③など)。G1
事例:フジ・メディア・ホールディングス(4676)2025年
株主提案(取締役候補12名、論点01)を受ける前後に、会社は「改革アクションプラン」(2025年5月16日)で指名と後継者に関する改革を日付つきで示しました。
- 過半数が独立社外取締役の指名・報酬委員会を設置(6月予定)。2026年6月に指名委員会等設置会社への移行を検討。
- 取締役会議長を独立社外取締役が務められるようにし、相談役制度を廃止する定款変更を6月の総会に付議(可決、賛成96.59%)。
- 6月までにサクセッションプランの策定に着手。
- 4月に役員定年制と在任期間の制限を導入。6月に相談役・顧問制度を廃止。
| 社長(清水賢治氏)の選任議案 | 賛成率 |
|---|---|
| 2025年6月25日 第84回総会 | 82.35% |
| 2026年6月25日 第85回総会 | 95.28% |
回答が答えた点
- 指名委員会、議長、後継者計画、定年、相談役廃止を、それぞれ実施時期つきで示した。
答えていない点
- サクセッションプランは「策定に着手」で、候補者の要件や選定の手続は示されていない。
- 英文のコーポレート・ガバナンス報告書がない(G1 = 該当なし、2026年9月)。英文の読者には改革の中身が届きにくい。
社長の賛成率の上昇には、前年の不祥事への評価の変化や株主構成の変化など、改革以外の要因も含まれます。
その他の事例
- フクダ電子(6960)2025年:指名・報酬諮問委員会の設置と後継者計画の諮問を求める4議案は、賛成6.97〜7.88%で否決(定款変更)。会社提案の取締役は83.68〜95.05%で選任。取締役会意見の内容はこのページでは確認していません。Japan IR Index の調査対象外です。
- 東洋製罐グループホールディングス(5901)2021年:相談役・顧問等の廃止の提案は、同年の5議案で最も高い26.75%の賛成を集めたが否決。論点02 →
- 太陽ホールディングス(4626)2025年:会社提案の社長の再任が46.09%で否決され、総会後に副社長(選任の賛成83.45%)が社長に就任(報道による)。後継の決定を株主の投票が早めた例。論点05 →
出典
- 2025年3月期 決算説明資料(改革アクションプラン、p.42)
- 臨時報告書(第84回定時株主総会)
- 臨時報告書(第85回定時株主総会)
- 臨時報告書(第78回定時株主総会の議決権行使結果)
- カナメ・キャピタルによる株主提案の公表
- 臨時報告書(第108回定時株主総会の議決権行使結果)
- Japan IR Index 調査記録:4676(2026年9月)