不動産など非中核資産
本業と直接関係しない不動産や有価証券は、貸借対照表では取得原価のまま、含み益が見えにくい資産です。株主は「その資産を時価で見ると、資本効率はどうなるのか」「持ち続ける理由は何か」を問います。
2026年10月19日作成。出典は2026年10月24日に再確認しました。賛成率などの数値は臨時報告書・会社の開示によります。
実際に出ている問い
貸借対照表に計上されない賃貸不動産の含み益が243億円あり、自己資本116億円の2倍を超える。含み益を考えるとROEは6.3%ではなく2.6%で、資本効率は低い。
石井鐵工所(6362)2024年 株主提案の提案理由(VASANTA MASTER FUND)の要約。
不動産事業を切り出し、政策保有株式を解消すべきだ。
フジ・メディア・ホールディングス(4676)2025年、NIPPON ACTIVE VALUE FUNDの株主提案の理由の要約(会社の取締役会意見〈2025年5月16日〉に原文のまま記載)。報道ではダルトン・インベストメンツの運動とされています。
回答に含めるべき要素
- 時価と含み益:賃貸等不動産や投資有価証券の時価、簿価との差。
- その資産のリターン:時価に対する利回りと資本コストの比較。
- 保有の理由:本業との関係、将来の用途、売却の制約。
- 方針と期限:保有・売却・分離のどれで、いつまでに。
- 売却資金の使い道:成長投資か還元か。S1
- 時価を織り込んだ指標:出さないなら、その理由。
事例:石井鐵工所(6362)2024年
Japan IR Index の調査対象外の会社です。
- 提案株主
- VASANTA MASTER FUND
- 提案
- DOE5%相当の配当、含み益を加味した指標の開示(定款)
- 結果
- 否決(21.02%、20.03%)、同年に非公開化
- 新中期経営計画(2027年3月期にROE8.0%以上、ROIC6.5%以上、PER12.5倍を目標)を公表
- 取締役会が反対意見を公表。「含み益を踏まえた経営指標や未実現の利益に基づく株主還元は客観性、持続性、健全性の観点から問題がある」
- 総会:配当の提案は賛成21.02%、指標開示の定款変更は20.03%で否決
- 株式併合のための臨時株主総会の招集を決定。上場廃止は12月24日の見込みと公表
回答が答えた点
- 新中計で、ROE・ROIC・PERの目標と、自己株式取得を含む取り組みを数字で示した。総還元性向の実績(2023年3月期69.2%)も示した。
答えていない点
- 含み益243億円という提案の中心の数字に対して、その資産をどう使うか、持ち続ける理由は何かを示していない。指標の客観性を理由に、時価で見た資本効率という問いには答えなかった。
- 総会の4か月後には、株式併合による非公開化の手続に入った。
事例:フジ・メディア・ホールディングス(4676)2025年
2025年5月の「改革アクションプラン」は、不動産(都市開発・観光分野)は切り出さず「戦略的投資の実行により継続成長を促す」とし、政策保有株式は3年以内に1,000億円超を売却して2027年度末までに純資産の15%未満とする方針を示しました。売却資金は成長投資と自己株式取得の原資としてキャッシュアロケーションに組み込んでいます。
回答が答えた点
- 有価証券については、売却額・比率・期限・資金の使い道まで数字で示した。
答えていない点
- 不動産については、保有を続ける方針を示したが、時価と利回り、資本コストとの比較は示していない。
- 英文の開示が乏しい(G1・G5・G6・G7 = 該当なし、2026年9月)。